インド古典叢書・摂大乗論・和訳と註解・上下
買取上限価格 5,000円
定価 | 17,000円 |
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著者 | 長尾雅人 |
出版社 | 講談社 |
出版年月 | 1987年 |
ISBNコード |
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この商品について
『摂大乗論』後半の第三章から第十章までの和訳と注解を、ようやく公刊することとなった。 上巻 の出版以来、すでに四年の年月を経過したことは、その間に已むを得ぬ種々の事情があったとはい え、自ら省みて妮たる思いを禁じ得ない。
すでに上巻のはしがきや序論で述べたように、上巻の二章が瑜伽行唯識学派の理論的な面を代表す るとすれば、第三章以下本書の八章は、その実践的な面を明らかにするものである。その意味でこの 下巻は、上巻に勝るとも劣らぬ重要なトピックに満ちている。聞熏習を説き、無分別智を説き、転依 を明らかにし、仏陀の三種の仏身を組織づけるなどの諸章は、特に興味津々たるものがある。しかも それらの問題は、殆どすべてこの学派において新しく掘り起され、あるいは新たに展開せしめられた ものである。このようにして本書の始終を貫くものは、如何にして悟入があるか、悟りを得るかとい う問題である。このことが無ければ、瑜伽行唯識学派が仏教の学派であるとは云えないであろうし、 また大乗仏教の頂点に立つものとも云えないであろう。これらの問題の内容は、本文についてご覧を いただきたいが、その問題点の概略は、「あとがき」に収めた「第三章―第十章の内容概観」におい ても再説した。それにつけても思うことは、本論の著者無著が、如何にすぐれた哲人であったかとい うことであり、同時に如何に深い思想家であり宗教者であったかということである。