東岳院様能楽余香・東岳院能楽関係文書 3分冊+解説
買取上限価格 2,000円
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著者 | 竹本幹夫 |
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出版年月 | 1976年 |
ISBNコード |
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この商品について
東岳院様能楽余香発刊について
米沢金剛会会長高橋俊三
数年前より、本会の企画と致しまして、米沢の金剛流について、その伝承的な事実をつまびらかにすべく、各方面の御 協力のもとに進めてまいりました。その一端として、上杉家と金剛流のつながりこそ最も重要、且つ根底をなすものであ る事が種々の資料により、あきらかになってまいりました。同時にその資料が、たんなる一藩の芸事記録としてはあまりにも貴重なものがあります。そのすべてが、代々秘伝として、我々も永年ふれる事が出来なかったものであります。
現當主上杉隆憲様の特に深い御理解のもとに、そのすべてが公開されることになり、誠に欣快に堪えないものがあります。こ、に深く感謝の意を表するものであります。
扱て上杉家九代重定公(法名東岳院)は米沢市史にものべてあるように、ことの外能楽を愛せられ、当時家臣一同もそ れにならって、能楽全盛の黄金時代をきづかれたものであります。ために御政道にいろく問題があった事もまた事実で
あろうと考えられます。私共の考察としては非常に貧弱ですが、謡以外は家臣にまかせて、一部の家臣の中では御政道の安否をおもんばかり、謡をたしなめる者もあったと聞いております。又世情は不況の最中で、不作の連続、その中にあって大枚を投じて能楽を催される事はなみなみならぬご苦労があった事と思います。又鷹山公も重定公の為には、財政困難なときにもかかわらず、しばしば能を催され、お慰さめされたと承わっております。能楽は世阿弥以来起伏の道は常道ですが、重定公の様な方がおられた為に、今日私共もその芸道のたのしみに接する事が出来る事を考えますとき、今さら年 ら公の偉大な足跡に深い感銘をおぼえます。この先学の偉業を少しでも後世に遺し、米沢金剛の隆昌をはかる事が公の報 恩につながるものと思います。