声明大系8冊セット

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近年、寺院関係者や研究者のみならず、ひろく一般の音楽愛好者の間にも、仏教音楽、とりわけ声明への関心がとみ に高まってきている。これまでにかなりの数の声明レコードが世に出されているのを見ても、このことはうなずけよう。 しかし、これらのレコードのほとんどは、一宗派や一寺院、ときには一声明家によるものであった。 ところが最近では、各宗派の間でも、これまでのように自分の属する宗派の声明に習熟するだけではなく、他宗との 関連やわが国声明全体の中での位置を見定めたいとの意向が強まりつつある。このことは、声明への関心の新たな高ま りを示すものであって、まことによろこばしい限りである。もちろん研究者は早くからそのような展望が開けることを願っていたし、多くの作曲家や一般の音楽に関心をもつ者も同様であった。この『声明大系』は、まさにこのような要請に応えるために企画・編集されたものである。

この『声明大系』は、わが国における仏教諸宗を、南都・真言・天台・浄土・浄土真宗・禅・法華の七系列にわけ、宗義上・行事上・音楽上から見て各系列を代表すると思われる法要と声明曲を全七巻計二十八枚(そのほかに別巻「多紀 道忍独唱天台声明」四枚)のレコードに収録した。

その構成にあたっては、各宗・各曲の有機的な関連に留意し、日本の声明の体系的かつ包括的な理解に役立つように心がけ、わが国初の声明の集大成を目指した。 体系的な理解という点についていえば、この『大系』の中には、共通したテキストや構成で行なわれている諸宗の法

要や声明曲が数多く収録されている。したがって、各宗(各巻)の法要や声明曲を聴きくらべることによって、その変遷や広がりの様子を見ることも容易となった。