輪島塗 荒川浩和監修
買取上限価格 5,000円
定価 | |
---|---|
著者 | 荒川浩和監修 |
出版社 | 京都書院 |
出版年月 | 昭和58年 |
ISBNコード |
※買取上限価格は、日焼け・汚れ・書込みなどがない状態での価格となります。
また、市場価格や在庫状況などにより変動する場合がございます。
この商品について
輪島市長,大向貢 刊行に寄せて
伝統工芸品輪島塗の産地である本市が、市制施行三〇周年という記念すべき年を迎えているとき、京都 書院によって「輪島塗」と題する本書が刊行されますことは、まことに意義深いものがあり、心からお喜 び申し上げる次第であります。
中国を代表する陶磁器と並んで、漆器は日本を代表する伝統工芸品と称されています 日本の各地でつくられている漆器のなかでも輪島塗は、その堅ろう優美さ、において最高の評価を得 ている漆器であり、まさに生粋の 伝統工芸品といわ れています。
すべての原材料に天然のものが使われ、すべての工程が入念な手づくりによる輪島塗は、本物のみの醸 しだす品位と風格に満ちているからであります。
輪島塗の起源については、大陸渡来説のほか、根来説、合鹿説、自然発生説などの諸説がありますが、 いずれも確たる実証資料がないため定説とはされておりません。
しかし、輪島塗がその堅ろう優美さ、を最大特性とし産地化されるに至ったのは近世に入ってからで あることは確かです。
寛文年間に本地特産の「地の粉」や「摺木地」が実用化されて、堅ろう性、を生み、享保年間には「沈 金彫」の技法が案出されて優美性、が加えられているからです。また、日本海における海上交通の要衝 「輪島湊」の存在によって北海道、東北、山陰、大阪などの各地へ商品として移出できたこと、加賀藩政 によって漆などの木が保護、増植されていたことも産地化の要因とされています。 こうして輪島塗の歴史を辿ると、地域の特性を最大限に活かした先人たちの大いなる英知と労苦が偲ばれます。
「先人たちが遺してくれたこの尊い財産を更に育み高めて、子孫たちの世に引き継ぐことが今日を生きる 私たちの使命であり、誇りでもあると思っております。
本書には、近世から現代に亘って輪島の匠たちがつくり伝えてきた「輪島塗」の名品七○○点余が、極 めて忠実な原色図版によって見事に再現されております。 本書が多くの方々に詳覧され、愛蔵されまして、輪島塗とその歴史が広く深く理解され、日本の伝統工 芸の素晴らしさへの認識が、より高められんことを願ってやまないものであります。