コロナの新規感染者数も増加の一途をたどり、今後どうなるのでしょうか。さて今回は日本刀関係の本をお譲りいただきました。比較的定番物が多い感じです。ありがとうございました。
昭和四十四年の春以来のこと、私の勤務先の刀剣博物館、或は久我山の自宅に、わが協会の会員その他の好者諸君が持参して、鑑定をもとめたものの中から、おおむね初見の良刀或は好資料となるものを選択し、さらに協会預りのものの中からも同類を拾って略解説を加え、それらに館員の後学深江泰正・高山武士・小林庫昌・鈴木 卓夫・田野辺道宏の五君の手になるよき押形を添えて、鑑刀日々抄と題して刀剣美術誌上に連載したところ、幸に好評を博しているようであります。そしてこれらの誌上紹介のものには大体私が鞘書をしておりますので、はからずも薫山鞘書の止帳(とめちょう)が出来上っている次第であります。
このたび私が古稀を迎えた祝賀の会を、協会と協会会員並びにその他の有志各位によって盛大に開催して下 きったことは感激の極みであり、お礼のことばに窮します。その記念としてはいささかお粗末でありますが、ここに今年四月号まで連載の日々抄を一本にまとめて、ご参加下さった各位に進呈することにいたします。終りにこの書を自ら熱心に編纂して下さった(株)清水印刷所社長に感謝します。
昭和四九年六月
薫山本間順治
去る昭和四十九年に、わが協会の機関誌である月刊刀剣美術誌に昭和44年以来連載の「鑑刀日々抄」を 一本に纏めて刊行して主として会員諸君に鑑刀勉学の資料を提供し、且つは私の鞘書の留帳の役を果させた。
このたびは輿論的希望に応じてその続編を編輯刊行することとなったが内容は前巻とまで相違なく、ただ協会研究職の後学深江泰正・高山武士・小林暉昌・田野辺道宏君等の手になる念入りの押形が前巻よりも多く、 したがってよく絵解きされていることを自負するものである。
多くの所載刀の中に若干ながら押形のないものがあるが、それはものの善悪によるものではなく、預りの時間その他やむをえぬ理由による取りおとしであることをおことわりする。
本書の割付は前回同様渋田愛子氏、索引も前回と同じく成沢秀太郎氏の手に成るものであって同氏のご労 に深く感謝する。
昭和五十四年九月
薫山本間順治