以前は和刻本シリーズの中でも・和刻本・辞書字典集成を紹介しましたが、今回は和刻本書画集成になります。
和刻本書画集成全8輯
和刻本正史・隨筆・漢詩と集めて刊行している間に、芸術についても編刊しようといふ意見がまとまったが、この類の和刻本中には、漢学の専門家には難解の術語があり、書画の專門家には難読の語句があるため、返点に留めたもの、誤読の混じたものもあるが、現代の専家にはなきに勝るものであるといふ諸家の御意見なので編刊に踏み切り、一応、範囲を書画中心に絞った。
收錄書の選定及び底本については嵯峨 弘君を介して、諸家の高見に接し、借用を願った。
ここに簡単失礼ながら、一言誌して謝意を表する。向、解題については、各輯の巻初に內容版本について略説を長澤がまとめた。
昭和五十年十一月
1 中国書画の図譜・論著76種の和刻本を全8巻に集大成。中国書画鑑賞・研究の決定版。
2 第1輯は総論篇として,書画・法帖・文房・器物等全般にわたる著録8種を収録した。
3 「考繋余事」は、中国人の日常生活の必需品がわかり,文人生活の根底を知りうる。
4 「江部銷夏録」は、後人の題跋・収蔵印記の記録として重宝な書。
5 「文斎書画譜略」は,「書画譜」より書画家伝40余巻を抽出した人名索引で,もっとも簡潔にして便利な小伝。
6 諸家・文庫のご好意による最良の初印本を底本に採用,印刷・造本とも特に配慮した。
1『書譜」は、六朝の老荘的芸術観を,孫過庭の書作家としての理念をもって,結実した書論。「続書譜」は,鍾懿・張芝に最高峰を求める書論。
2「墨池項録」は,諸家の説を援用するも,論書に関する独創的見解の多いのが特色。
3 「草書要領」は,虞世南・欧陽詢・猪遂良等の臨書で,草書の筆意を知るに便。
4「重刻内閣秘伝字府」は、歴代の書論を拓介し,永字八法の変化七十二法を詳述したものであるが,本影印は欄外にある増注が非常に便。
5 「明李憩庵先生八十四法」は間架結構法を八十四法に分類した決定版。
1 「漢漢書法通解」は,述古が自選の論,執筆・運筆・結字・訣法・譜序は先人の説。半ば偽書と仮託されるものを録するも、詳密な注釈は至極便利である。
2「右軍書記」・「十七帖述」は、王義之の草書の釈文について,その時代に対する理解・認識の差異から諸家の異同多く、ために校訂佳良とみられる本書を影印。
3 巌谷小波・犬養木堂・河井蓬廬・中村不折・日下部鳴鶴などを発起人とした談書会が活字で残してくれた諸論著は、小篇なるも光彩陸離たるもの。書葉・南北書派論など。
4 「三雅撫言」は,印・民・額に適切な熟語と短文を収録。「墨場必携」の類書として珍。
1 「図絵宝鑑」は,画史伝として,夏文彦の品評は秀抜なため,和刻刊行前から,日本の画学者は重視しており,和刻本によって中国絵画の正しい評価を学び得た書。
2 「六如唐先生画譜」は,画譜と題するも所謂作品集とは違い,張彦遠から王に至る諸家の画論を43項目に分けて収録したもの。
3 「佩文斎画説輯要」は,偏文斎書画譜中の主な画論を抄録したもので,出典を明示しているので至極便利な書。
4 「芥舟学画編」は、沈宗霧が先人の画法に対し、衆目を排しても持論を強調した書。
1 「図絵宗率」は,中国では稀親本となっているが,日本では元禄以後,版を重ね画学者
に珍重かつ重視されたもの。画論と画式を併せ,絵画全般に及ぶ書。
2 「(訳本)芥子園画伝」は,池大雅等が懸命に学び,日本文人画育成の土壌となった書。
3 「梅花喜神譜」は,梅を溺愛した宋伯仁の遊戯的著述で専門の画梅法を述べたものではないが,宋の刻工が画梅の骨法を鮮かに遺しているのは一特色。
4 「菊譜百詠図」は,陶淵明にはじまる菊を愛する詩と画を併せて,雅なる書物。なをかつ手作りの法をも伝えたもの。
明末天啓年間に刊行された『八種画譜』は、『芥子園画伝』などとともに間もなく日本に将来され、江戸中期「京都の比較的自由な空気」(岡倉天心)のもとで池大雅・与 謝蕪村などが新興の文人画-南画を完成させる基となった。日本美術史上一冊の本が これほど大きな影響を及ぼしたのは稀有のことである。 寛文12年京都唐本屋清兵衛によって板行された最良の初印本を、今回はじめてB5判 実寸大に忠実に再現。 本集には,唐詩言・六言・七言画譜と梅竹蘭菊四譜。木本花鳥譜の五種を収録。中 国・日本美術研究者・愛好家待望の書。
1本集は「八種画譜』(下)として草木花詩譜・唐解元倣古今画譜・張白雲選名公扇譜の三種と貴氏山水画式を収録。
2 八種画譜のうち唐解元倣古今画譜と名公扇譜は,池大雅を始めとして後世に至るも臨 模を重ねられ、日本南画完成の基盤となった大屈指の画手本書。
3〇氏山水画式は,清人沈南蘋に続く費漢源の来遊に端を発し、沈氏の花卉翻毛画と並び,彼の山水画法を伝えるため日本人木〇。澤元堂の校訂を経て日本で刊行。日本の 文人画に与えた影響は甚大。
1 「学古編」は,篆刻・印章に関する体例を初めて詳論した篆刻に関する古典的論著。
2 「印正附説」は、秦漢の古制を普及するため,高芙蓉が兼葭堂の刊行に協力した書。
3 「洞天清禄集」は,書画から古器物までの十門に亙る論証は精しく,宋末文人趣味を物に即して記述し,中国人の生活の一端を窺うに重宝な書。
4 「三種図賛」は、文人生活の机辺を飾る器物等を紹介した至極便利な図譜。
5 「硯箋・墨経」は,宋人先学の説に拠り,現墨につき詳述した至便の書。
6 「泉志」は、歴代の銭図を収録するも、 ことに古泉が,書に関連多きため収録。