剣術教書 駒川改心流剣術・黒田泰治 剣術書宅配買取

剣術教書宅配買取。著者は、駒川改心流剣術・黒田泰治で黒田鉄山氏の祖父に当たります。黒田鉄山氏の著書は以前等買取のブログでも紹介したことがあります。この駒川改心流は、そもそも元祖は神陰流・上泉伊勢守信綱でその後駒川改心流と称するようになりました。黒田泰治氏は、当社の所在する埼玉県大宮市（大宮区）で何十年も指導に当たっていた方です。こちらの本は単品での買取も可能です。

序文

武道に主とする所のもの四あり、勝ちを争うこと其の一、久しきに堪ゆるとと其の11、品位 を持すること其の三、気力を集中すること其の四、此の四つのものは誠に是れ武道の要髄にし て肉も忽せにすべからざる所なりと。

実に勝ちを争うはよく対者の虚盈進退を洞察する明敏なる頭脳と、機に臨み変に応じて利那 も遅滞する所なき敏活なる身体を養うに足り、久しきに堪ゆるは世間百般の業事に処して、確 固不抜の心身を練るに足る可く、品位を持する道に至りては、武道の最も重しとする所にして、 1 居常礼を以って始終すべきは勿論、常に公正の態度を失わず、彼の目的の為めに、手段を撰ば ざるが如きは武道家の、最も忌むところにして、之れによりて養い得たる所のもの自ら崇高な る人格を生むに至るべし。予は気合の充実を以って気力の集中と解す、事に処して逡巡する所 なく、一意専心之に当るの習慣は亦武道に依りて之れを養う事を得ん。誠に武道の要諦、悉く 其れ当世修養の要髄にあらざるなし。近時西欧各種の競技日を追うて行われ、武道も亦復興し、 これに伴いて、競技として進み、世上専ら勝負の末に重きを措くに至れるは、憾なきにあらざ るも何良く武道本来の精神を失うに至らざる事を希い願う次第なり。

不肖は一介の武術者であり宇らに著作〇志を抱く日久し。 羨まり富違い、果して諸賢の意を満すや否やについて測り知れない。 文意描なく、到底諸君の満足を得る事を自覚す。然し一頁一句たりとも武術熱心の微意ぶ 含まれて居る真意が現われるなれば著者の喜悦申すに及ぼす、古流武術の面目限りなきものと 信ず。

文武両道は双輪の如く、吉へより言えるが如く共に肝要なり! 近世武術を「スポーツ」なりと称す、断じて「スポーツ」にあらず。 現時吉実を知らずして徒に外形的末技に走り、段位や勝負に拘泥し、其の深真を知らさる傾 向無きとせず。惟うに武の真髄は其の精神にあり、神聖であり厳粛、然る語通変化自在な玄妙 味をなし、破邪翼正の発動であり、生死一如の気魄を抱持しつも清明にして慢する事なき、 講義を内に蔵する奥床しさこそ武術の尊さで無ければならぬ。