歴史書買取 長江の水・東亜同文書院大学・卒業アルバム 三鷹市下連雀

長江の水・東亜同文書院大学・卒業アルバムほか各種歴史書買取事例。その中の気になる一冊、長江の水・東亜同文書院大学・卒業アルバムです。と言いましても当時の卒業アルバムではなく、（そもそも当時はいわゆる国家非常時で、卒業アルバムはありませんでした。）昭和53年に出版されたものになります。

東亜同文書院大学は、日本の中国進出のための中堅幹部を養成する機能を担った学校で、1901年に上海に設置され、専門学校を経て、1939年に大学となります。

おそらく非売品と思われます。「同期生の大半は若かりし日々の写真を一枚も持っていなかった」と記されています。なお、題字は宮田武義氏(同文書院第12期生、山水楼主人)によって揮毫されています。

ただ、ここで、心痛むことは、このアルバム のなかに、若くして、戦場に散った学の友、 また、戦後の波調万丈の世相を、たくましく 生きながら、不幸にして、胸にたおれた学友の 若き日の懐しい顔が見出されることである。 同窓会名簿(1978年版)によれば、われわれ 42期生は、総員184名(予科入学者172名、学 部編入者12名)であるが、既に、そのうち、 52名が故人となっている。本アルバムの刊行 にあたり、これら亡き同学の友とその遺族の 方々に対して、謹んで、哀悼の意を表したい と思う。

「長江の水」という題は、同学諸兄から募っ たアンケートのなかで、得票数が最多だった ものである。このほかにも、捨て難い題とし て、「福城」、「桃李の吹雪」、「嵐吹け、吹け」、 「崑崙」、「徐家匯」、「江南の夜に」、「我説你 聴」、「龍華行春」、「龍華惜春」、「龍華浅春」、 「龍華早春」といった提案があった。いずれも、 われわれが、江南の地、上海で、燃焼させた 青春を想起させるにふさわしい題であり、回 想と将来を結ぶ心のかけはしともなれば幸い である。

なお、題字については、書家としても著名 な宮田武義氏(同文書院第12期生、山水楼主 人)の揮毫をいただくことができた。ご高齢 にもかかわらず、われわれのために、心よく お引き受けいただいたことに、深甚の謝意を 表したいと思う。

終わりに、数少い貴重な写真ばかりではあ ったが、残念ながら、若干の重複精祖は避け られず、また、紙数と予算の関係で、やむな く割愛せざるを得なかったもの、さらには、 折角の資料提供にご協力いただきながら採用 できなかったものも少くない。総じて、満足 できるほどの立派なものとはならなかったが、 ご寛容のほどをお願いする次第である。

(鈴木彰)