昭和初期の満州・青島・上海の旅行ガイド・案内書をお譲りいただきました。

昭和初期の満州・青島・上海の旅行ガイド・案内書をお譲りいただきました。大連航路案内、満州旅行の栞、上海土産案内、青島・交通バス案内など時期的には昭和10年前後でしょうか。貴重なものをありがとうございました。

滿洲へ旅行するには左の航路がある。 海路大連經由 (イ)大阪商船經由 殆んど連日神戶出帆、門司、大連に往復している。五千乃至八千頓の大型汽船で愉快な旅行が續けられる。 (口)近海郵船經田 主として南九州地方の旅客のための航路で、月六回、鹿児島、長崎と大連間を往復する。

(イ)釜 山 經 由每 日朝、夕二回下關と釜山間に鐵道省直営の連絡船がある。釜山及び下關では急行列車に夫々接續する。 (口)北 鮮經 田 北日本汽船敦賀、清津直航路(羅津、雄基寄港)は月六回、日本海汽船新潟雄基航路(羅津、溝 津寄港)は月三回、何れも兩地間を往復運航してゐる。 飛行機に依る場合 毎日(月曜日を除く) 東京、大連間を獲着してある。途中着陸地は名 古屋、大阪、福岡、蔚山、京城、平壌、新義州である。 荷天津、青島及上海方面からは大連へ三日目毎に大連汽船の連絡船が 就航してある。

旅行季節

春―四月中旬から五月下旬の花期、六月の新緑の候を最も良しとする。 夏—七月下旬から八月中旬は所謂雨期であるが、大陸氣候の影響を受け

雨量趣く野台山綠滴り、朝夕は涼風吹き來り極めて凌ぎ易い。 秋九、十月は紅葉の季節で、春にも優る旅行の好季節である。 冬!滿洲の冬は、三寒四溢と云って寒さが日績けばろに日本円 日續くといふやうに、自然に氣候が緩和されて居る。この時期は滿 洲として一番活氣ある時で、農作物の出廻り盛んで又水滑り、銃猟の好季節でもある。 –

服装と携帶品 鐵道を離れてずつと奧地へ入る人は別として、鐵道沿線の主要都市を 視察される旅行なれば、內地の旅行とさして選ぶ所なく、取立て~特別 に携行を要するやうなるのはない。なるべく輕快な服装=洋服の方が萬. 事に便利である。氣候が大陸的で、日中の酷暑期でも夜間は涼氣を覺へ る事があるから腹巻、セータ類の用意があれば申分ない。雨の少い地方から洋傘を携行するよりレインコートの方が上記の理由からもよ く、冬は厚手の外套を用意すればよい。

携帶 品 の 證明
內地から携帶される寫眞機、望遠鏡等の高價品は歸 路入品と看做さ れ課税される虞れがあるから、入國に際し左記の税関箇所で携帶語明を 受けて置く必要がある。 

一、海路大連上陸の場合は神戶又は門司税關で。
 一、釜山上陸朝鮮經由の場合は安東驛內新義州稅關出張所で。
 一、清津、雄基上陸の場合は上三峯靡又は圖們螺內稅關出張所で。
通貨流通の種類は、日本貨幣、朝鮮銀行紙幣、滿洲國幣の三種である。 滿洲國貨幣、邦貨は何れも等價に使用出來るから、兩替の必要はない。