肥後文献叢書・肥後国誌など入荷しました。
肥後の国誌は、一六六九年(寛文九年)の 北島雪山の「国郡一統志」十五巻にはじまる。 その後、辛島道珠の「肥後名勝記」(元禄二 年頃)、井沢蟠龍の「肥後国誌」十七巻(一七〇六年)、同「肥後地志略」があらわれ、 さらに一七二八年(享保十三年)には、成瀬 久敬が肥後国の各郡・各手永などの事跡・古跡・神社仏閣の縁起、山川邑里などについて まとめた「新編肥後国誌草稿」十八巻を著わ している。
その後一七七二年(明和九年)に肥後藩士 森本一端が「肥後国誌草稿」を増補して、 「肥後国誌」二十五巻とした。この本には肥後の上代からの歴史のあらましと地誌で重要な事項と思われるものが書かれている。第二 十三巻に肥後領豊後国直入郡、大分郡、海部 郡のことをしるし、第二十四・二十五巻は付 録として府城以下各郡中の社寺古跡、人物などが収録してある。
この本の基本となるのは 成瀬久敬の「国誌草稿」であるが、一瑞自身 も国中を歩いて農夫やきこりなど、いわゆる 田夫野人の伝える探索採集している。
一八八四年(明治十七年)に水島貫之、佐々豊水が森本一瑞の原本をさらに増補校訂し て「肥後国志」十四巻を著わしている。こと に八木田桃水の名著「新撰事蹟通考」をはじめ、「古記集覧」「雑華錦語集」「阿蘇文書」 「桃源問答」「古塔調査録」などの根本資料 を引用補入し、きわめて価値高いものとしている。
大正五、六年に後藤是山が、「肥後国元始大略」「天草島鏡」「求麻外史」「南郷事蹟考」「(旧肥後領) 豊後三郡等」の新しい資料を増補して「肥後国誌」上・下二巻を出版 している。今回の復刻はこの本の再刊である。