甲斐志料集成他歴　郷土史・地方史買取事例

甲斐志料集成他郷土史・地方史買取事例。その後昭和55年に歴史図書社から復刻版が出されますが、今回お送りいただいた方は、昭和7年-昭和10年の元版になります。ありがとうございました。

一、甲斐志料集成は甲斐に於ける耽刊と未刊とに關らず代表的一流資料を彙類し集成して年三回(三月・七 月・十月)に刊行、十二巻を以て完成し我が甲斐の國の群書類從たらん事を期す。故に甲斐の郷土に關係 の未だ世に知られざる志料を藏せらる。方は、本會に御一報あらん事を切に懇願す。本會は之を調査して 優良なるものは成るべく所藏者の芳名と共に之を此の機會に於て世に紹介せんと欲す。

 一、本集は、甲斐志料集成十二巻の首巻にして、特に日記・紀行篇として左の十二種を収載せり。

一、みとの かす二、並山日記三、廣重甲州道中記 四、甲斐日記五、文政十年見聞書付六、峽中紀行七、風流使者記八、津久井日記九、甲信紀程 十、登嶽日記十一、廻國雑記、十二、日本行脚文集 右の外にも契仲の富士日記を始め収載すべきもの多々有りと雖も紙面の關係と刊本にて入手比較的容易な るもの等割愛して又の機會を侯つ事とせり。

一本集に収載せる排列順序は、御巡幸に關する一篇を首篇としたる外何等意味あるにあらず。

一、並山日記中の文書及花押等は、縮倉にて原形のまさにあらざるものを、更に轉寫したるものなれば、原形に違へるなるべし。各種 の如きも亦厳密に云へば字体の大要を窺9參考のみのものならん。其の 心して藩かれたし。 一、本巻は事業草創の際にて諸般準備整はず、印刷校正体裁の各方面共、遺憾多きも、そは次回以後に於て 償ひ、以て會員各位の期待に背かざらんとす。

一、第二巻以後に収載すべき豫定の概目を舉ぐれば、甲斐國志・甲陽軍鑑・武田三代記・甲斐叢記・甲斐名 勝志・裡見寒話・癒乘物・甲斐國高帳・甲斐國歴代譜・武田系圖・理慶尼記・甲創記・甲斐國古文書・甲 陽書尋録・甲斐國見聞日記・甲斐國寺子屋調べ・妙法寺記・殘簡甲斐風土記・映中沿革史・甲斐地名辭書

山梨伸監集等に學術、教育、宗教、文藝等の資料を配し紙面の許す限り內容の充實を圖るべし。

一、本集成中に於て刊行する甲斐國志は、特に純然たる徽典館本甲斐國志として本刊行を意義あらしむる豫定なれば、從來一二種のものありと雖も、茲に一種の異本として學者の満足を得るならんか。 

一、本卷に題字題歌を賜りたる青山根津嘉一郎氏、蘇峯德富猪一郎氏、寄人遠山英一氏、並に特に懇篤なる序文を寄せられたろ關屋知事等各位の厚意を鳴謝し、併て本會の事業に多大の盡力を惜まれざりし在京鎮- 目交甫君並山崎陽一君の厚情を謝し、更に大東京角筈松壽堂書房と山梨労資新聞社の努力をも多謝す。 

一、本會の為めに特に諸般の便宜を與へられつくある山梨縣立圖書館並南塘文庫の厚意に對しては、妊に特記して謝を表す。