埼玉県蕨市にて 蒙古誌研究等歴史書買取

蒙古誌研究・隋唐時代の東トゥルキスタン 研究等歴史書入荷いたしました。何種類か紹介させていただきます。

私共の敬愛する故嶋崎昌教授の最も主要な研究論文十五篇がここに一册に纏められ、「隋唐時代の東トゥルキスタン 研究――高昌國史研究を中心として――」と題して世に贈られるに至ったことは、何にもまして喜ばしいことである。 昭和四十九年三月の教授の急逝から正に三年。學界はこの論文集の編集と刊行とに協力せられた東京大學教授護雅 夫博士、國學院大學助教授土肥義和氏を始め、中央大學で教授の教を受け、今各方面で活躍している松本明・花田宇 秋・川越泰博・岩崎力、東京教育大學大學院博士課程の學生で索引の作製を擔當せられた梅村坦の諸氏の厚意と苦心 とを心から多とするであろう。

嶋崎教授の六十年の生涯を貫いた研究の主題はトゥルファン盆地を中心とする中央アジア史の研究であった。中央アジア史はオアシスと草原と砂漠との對立の歴史である。都市と村落との集團からなる農耕民族の國家と草原に展開する遊牧民族との抗争の歴史である。そしてそれに支那大陸とイラン臺地とをそれぞれ支配する大國家が介入して、樣相を一層複雑にしている。ターリム盆地の東北端に位し、肥沃な農耕地に恵まれる一方、東西南北の交通の一大要衝であるトゥルファン盆地は、古くから中央アジアの政治・經濟・文化の一大中心として、こうした中央アジア歷史世界の基本的性格を典型的に發揮して來た地域である。