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東京都足立区にて野村得庵と碧雲荘等建築書3箱。出張買取
今回紹介させていただくのは野村得庵と碧雲荘。知られているようでわりと知られていない一冊。碧雲荘そのものは昭和3年 南禅寺境内の敷地に、野村徳七翁によって建てられた別邸で国指定重要文化財になります。まだ数回しか販売したことがありませんので部数は少なそうです。
碧雲荘散策中村昌生益田鈍翁、高橋箒庵ら東都の数寄者に堂々とわたり合ったのが野村徳七(得庵 一八七八―一九四五)である。大正二年数内節応に入門したのが彼の茶の始まりで、休々斎から得庵の号を贈られた。得応は大正四、五年頃「茶の交会に至ては畢境特権階級に過ぎないといふ人もある。併し之れとても人間交際の最高の禮儀の道場として、而して其の用ふる珍什名器は客を尊敬し、接待を町 重にするが為めであれば、敢て非難すべきでない。」また、「和敬清寂の四字は実に茶道の真髄であって、茶道は礼儀のみでなく、道徳のみでなく、学問のみでなく、芸術のみでなく、此等の全部に通ずるものであって、一大美的価値を 有して居る我国特有の一の大道である」と、自身の茶道観を述べている。そして名器の蒐集にも情熱を傾け、売立てにはみずから東上し、出張など止むを得 ない時は出入りの美術商に落札を委託していったという。そして遺言書のなかで、所蔵品には自己の精神が籠っているから、断じて散伏せしめないよう戒めていた。こうした茶の湯の実践を背景に、大規模な山荘の普請が計画されたのである。
得庵は大正八年頃、南禅寺の地に山荘の建設を始めた。下河原町、福地町、 永観堂町に跨り、東は永観堂道に達する東西に長い約七千坪の地であった。ここに東山を借景する雄大な園池を築き、建物を配し、両者が融合してひときわ秀麗な風景園を形成したのである。 小川治兵衛父子を督し、地割から一木一石に至るまでみずからの作意趣向を通わせたという。建築には北村捨次 郎とその輩下の大工が腕をふるった。得庵は「本来専門の設計技術者を有するに不非荘主が唯数寄に委せ 職 方を督して、所謂忙中偸閑の作なれば 違法誤作など隨處に横はらん乞ふ深く苔むるなく寛容の御観覧を賜 らば 喜び之に過ぎず」と「碧雲荘案内記」に謙虚な言葉を残している。
完成は昭和三年であった。しかし前年の春に花泛亭が火災に遇った。それも直ちに再興された。そして大典に 際して久邇宮邦彦殿下の宿所の沙汰を受けるや一気に大書院、大玄関の落成も果したのである。庭は東に滝を落し、渓谷を造っているが、ここではそれが広大な池に拡がり、西部で再び渓流となっている。
池の西岸「待月軒」からは、東山に連なるこの園池の悠然たる景色が一望に眺められる。池の南岸には軽快な姿 の船舎があり屋形舟が繋がれている。それがまたこの景観の点睛をなしている。待月軒の前に立って邸内の建物 の配置を見わたしてみよう。
「池の彼方の東境、永観堂道に面して表門が開かれる。晴の門である。西は清流亭との間の道に面し長屋門が開 かれている。そして池の北側に大玄関、能舞台、大書院、立礼席、中書院等に続き居住棟が西方へ連なり、さらに南へ池畔の苑路に沿って北泉居、為楽庵が続く。池の南側、船舎の辺りに寄付、それから路地を隔てて茶室、 又識、広間花泛亭が西方へ続き、苑路が南へ廻って不老門を開く。その傍らに龍頭軒がある。
野村得庵が碧雲荘で茶会を催す場合、施設の使い方は一定ではなかった。例えば昭和四年の大典奉祝の茶会では、客を正門(東門)から通し、「大玄関待合」を寄付とし、それから田舎家の腰掛に導いている。そして濃茶は又識、薄茶は大書院、懐石は花○亭であった。また昭和七年の令息結婚披露の茶会では、大玄関を寄付に、腰掛待合は「舟及田舎家付近」 濃茶が花泛亭、薄茶の待合に待月軒、薄茶席に北泉居、祝宴に御殿が当てられた。
これらは、茶会とはいえ、フォーマルな行事として催されたものであった。そう いう時には、やはり晴の東門から客を誘導して、大玄関の方に寄付が設けられたのである。これに対して、趣味としての茶会で、茶の湯巧者の数寄者たちを 招くような茶事の時は、西門、数寄屋門とも言うべき不老門から客を迎え、龍頭軒が寄付に当てられることが多かったのである。昭和十三年の還暦の茶会では、寄付が龍頭軒、腰掛は田舎家、本席には又織、薄茶に北泉居、懐石に花泛 亭が使われた。
碧雲荘の佇いが整いましてから六十餘年、得庵が他界しまして四十六年の歳 月が流れ過ぎました。
顧みますと、戦後御近所のお屋敷の多くが米軍の接収を受けられ内部の御様 子も多々変わってしまいました。私どもがどうかそのままの姿を残したいとい う切なる願いを抱き続けて居りました所、各位の暖かい御奔走により元のままの姿を保つことが出来ましたのは、誠に幸運でございました。
碧雲荘に住まわれていた往時の得庵を知って頂く方々も数少なくなりました が、この庭の一木一石、また各部屋の一隅にも私どもには亡き得庵の面影と息 吹に包まれているように思うのでございます。けれども木造の家屋、庭の立木は少しづつ時の流れにより変わっていくもの でございます。このたび御縁の深い方々の御骨折りによりこのような御本が出 来上がりました。
得庵も「忙中○閑の作なれば、違法誤作など隨處に横はらん、乞ふ深く苔む るなく、寛容の御観覧を賜らば、喜び之に過ぎず。」と申しております。見苦しい所もありのままをお目にかけますが、ご容赦の程お願い申し上げます。
日本建築仕上材工業会 会長
岩崎行男 このたび、日本左官業組合連合会では新たに『左官建築探訪』を出版されました。 昨年の初めには素材から工法までのいわゆる「左官工法」の内容を詳しく述べた『左 官仕上げガイドブック』を出版されていますが、それに次いで今回の写真集の発行 となり、ともに誠に時宜にかなう企画と思います。
最近の建築は、工期・工法の合理化の追求から、仕上げ工法でも左官仕上げによ るテクスチャーを含めた塗付け仕上げを見かけることが少なくなってきております。 従って、一般消費者はもちろん、建築関係者でもバラエティーに富んだ左官仕上げ やそのよさの認識が少なくなっていると思います。明治時代の洋風建築の造形仕上 げや、日本の風土で育った和風建築の土壁や聚楽壁など、多様性に富んだ伝統技術 の手造りの味を持つ温かみのある壁。それは、古来からの土壁への郷愁にも連なる ものと思います。入念に造られた茶室や料亭に入ったときの充実感は格別ですが、 私たちの家庭や身近な建物にもっとこのような仕上げが欲しいと思っておりました。
日本建築仕上学会では数年前から建築仕上げの学会賞として作品賞を選定してお りますが、最近の受賞作品では新旧素材を用いた左官仕上げ塗が多く見られます。 それは仕上がりに工業化製品では表現しがたい多様性があるからだと思います。
この『左官建築探訪』は日本全国の左官仕上げを網羅した建物紹介でありまして、 建築関係者をはじめ一般消費者まで日本の壁を見直して再認識するよき指導書にな ると思います。すなわちこの機会に、一般消費者にも単調な工業化製品の壁より個 性のある造形文化がよいという認識が生まれ、壁に対する期待なり要望が出てくる ことを望みたいものであります。
最近、建築業界でもグローバル化、建築基準法の改正、規制緩和などが進み変革 期にありますが、仕上げ工法も乾式・湿式を問わず新時代へ向けて新しい価値観へ の適応性が求められております。建築工法のなかで最も古い伝統を継承する左官技 術は、伊豆の長八美術館に見られるような得難い唯一の造形技術であり、また日本 人の琴線に触れる仕上がりであります。乾・湿工法などいろいろな仕上げ技術に適 応できる鏝塗をもって、他の業界と連係を保ち、新しい仕上がりへの造形力と新し い機能への創造力を高めることができれば、左官業界は一段と新鮮にして強力な芽 生えが出るものと考えます。 今回の出版をてこにさらに発展されることを祈念して、発刊の祝辞といたします。
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