出張買取時事例 さいたま市岩槻区にて昭和版・延喜染鑑等美術書茶道書6箱など
今回ご紹介するのは昭和版・延喜染鑑。
染色研究60年の筆者が延喜式に記されている染色の方式を復元したもの。徳川吉宗の命で作成された『式内染鑑』に次ぐ史上2度目の復原。
『延喜式』に現われた当時の染色というものは、充分にその記載を検討した上で、新しくいろいろの染色実験をやってみた後、それが果して如何なる色相のものであったであろうかということを、文献と実験との両方から推定していく他には、恐らくは方法がないのではなかろうかと思われる。このことについて、私は
新潟県立女子短期大学在職中からいろいろと計画を立て、まず当時の私の助手であった山崎光子君と、研究生の本間靖子君とに協力を求め、流布本の『延喜式』の中の「縫殿寮式」の「雑染用度」に示されている染色についての検討をはじめ、予備実験として、そこに示されている、『延喜式』の染色に関する多くの色相の心のを、まず文献に示されず文献に示されたままの量を算出し、それに基づいて、いろいろと実験をやってみたのである。
右の予備実験の結果、その記載量などに関し、多分、原本からの転写の際の記載間違いであろうと思われるものが幾つか出て来たので、それを検討・補正しながら、新たに多くの染色実験を行った後、原本は恐らくはかくあったものであろうという結論に達し、それを改めて実験し、その各色について、一反余りの大きなものの染色を行った訳である。