今回はさいたま市桜区にて古琉球紅型など美術書6箱になりました。紅型の研究に専心した人間国宝鎌倉芳太郎氏編集の古琉球紅型4冊セットなど買取させていただきました。大型本でこれ1冊で一箱近くになりますね。特大本で運びだしが大変でしたが、査定価格にはご納得いただけたようでありがとうございました。
古琉球紅型
著者は、一九二二年、東京美術学校を卒業し、文部省から沖縄県に配属を命ぜられ、五月、同県女子師範学校教諭として現地に赴任 した。時に年齢二十三、初めて登校の朝、崇元寺国王廟前を通りぬけ安里八幡前の路上において、はからずも東方首里台地上に、輝く太陽と黄金色の光線の媒然、荘厳な景観に接したが、その印象は強烈で、四十数年を経て今もなお脳裡に鮮明である。この感激が機縁となって、踊後琉球王国芸術の探究に粉骨砕身し、就中その神秘なる色彩現象の顕現と見られる染織工芸、殊に紅型の研究を核心とする方向に進んで来た。その出発点において数年の隔たりはあるが、一九一四年、表現主義のパウル・クレーが初めてアフリカに旅行し、 気分の上に黄金色の柄の影を見て、以来神秘的な色彩画家として歩ゆんだ道を思いこれに共感する。
本書に掲載の資料は総べて著者が一九二一年から一九二七年に至る間、即ち琉球廃藩以後半世紀を経て、旧慣と倶に埋蔵絶滅の危機にあった際に捜求拾集したものである。
これは極めて貴重なコレクションであって、その一部を公刊するに際し、普明会創立以来の諸役員の方々は固より、この研究を直接指導して下さった正木直彦先生、伊東忠太先生の霊に深く感謝の意を表する次第である。