東京都板橋区にて軍事書・鉄道書など古めの書籍です。
軍事書の中にも面白いものがちらほらありますが、それとは別に1点気になった書籍がありましたので紹介させていただきます。
明治十三年夏明治大帝御巡幸謹記・著者は前田直平で山梨元東山梨郡在住の方のようです。明治天皇は明治13年に、山梨県三重県京都府を御巡幸しています。前書きを見ますと「三府八県下」にも亘る御巡行とかかれていますので大掛かりなものであったはずです。実際そのお供として伏見宮貞愛親王及び太政大臣三條實美ら300余名を引き連れています。この本の執筆の動機はその際の読売新聞社記者の詳細なる筆写が著者の自宅に保管されていたためとあります。この本おそらく部数も少なく珍本ですが、ここで取り上げたのはその本とともに筆者の直筆と思われる原稿もあるためです。古書はもちろん直筆原稿などあればより高価になる場合もありますし、直筆原稿そのものも歓迎いたします。
簡単に序文のみ紹介します。
明治帝が当地方を御巡幸あらせられた明治十三年から本年は満六十周年になるのである。それに明年は実に神武天皇御即位紀元二千六百年に当るのであるからその記念として本書の出版を志したのである。
明治大帝が維新の大業を成就し給ひ、日清日露の両戰役を経て我国運を愈々隆々たらしめ、今日の盛をなすに至らしめたるその御威徳の高大なる誠に我國中興の叡主として千古に仰がれ給ふ所である。かかる聖帝の御事蹟は徴細と雖も後世に傳ふべきである。況んや三府八縣下にも亘る御巡行の如き大事に於ては何更の事である。