明治前期測量2万分1フランス式彩色地図・第一軍管地方二万分一迅速測図原図復刻版・等古地図を紹介します。古地図といいましても復刻版となりますが、買取りは可能です。ありがとうございました。
はじめに
地図は,文化の発達の尺度を表すといわれる.今か ら一世紀以上もさかのぼる明治初期,現在においても 目を見張る見事で華麗な色彩の地図が作られていた. 全国的な基本測量の実施に先立ち,関東平野のほぼ全 域と房総・三浦半島について,明治13年から明治19年 にかけて作られた「第一軍管地方二万分一迅速測図原図」は,陸軍参謀本部によって実施されたわが国初の広域測量の成果であり,近代測量の基礎となった地図である。
この迅速測図原図は,図解法による図根測量を行い さらに細部測量を行って作られたものである.平板上 で作成されたこの原図は、等高線等による地形表現の ほか,水彩色絵の具により市街地の状況や田畑を巧みに彩色してあり,見た目にも美しく,わが国近代地図 作成史上最高の傑作といってもよい.
明治初期の陸軍は,幕府陸軍が範としていたフランスの軍制をそのまま引継ぎ,かつ,地図作成の中枢部 にはフランス陸軍で学んだ人達がいた。当時文化,芸 術の世界的な中心であったフランスでは,地図におい ても見事な彩色図が用いられていた. このような背景で,この迅速測図原図はフランス方式の彩色図として作成されたのである.
しかしながら,その後,地図作成を含む軍制全般が フランス方式からドイツ方式に移行されたため,「迅 速測図原図」もドイツ方式の一色刷り図用に書き直さ れて刊行された.そのため,この「迅速測図原図」は 日の目を見ることなく,倉庫で長い眠りについていたのであるが,(財)日本地図センターが平成3年3月 25日に「明治前期手書彩色関東実測図」として復刻発行した.しかし限定出版として発行部数も少なく,ま た関東地方の主要部を覆う約1000枚の地図を一括した ため非常に高価なものとなり,広く一般の方々の手に まで行き亘ることはなかった.
今回,建設省国土地理 院が主催する横浜地図展の開催を機に,これらを広い 分野の方々に利用していただくため横浜市のみならず 神奈川県東部地域について国土地理院の御承認をいた だき再度復刻することにした。