刀剣書買取事例 打刀拵-刀剣外装の美等
ごあいさつ
鎌倉時代,備前長船の巨匠・長光の名刀展を開催いたします。 長光は、父・光忠にその優れた技法を伝受されるとともに、一族以外の刀工 をもまとめ組織化して、長船派隆盛の基礎を築きました。長光在銘の太刀など は,700年後の今る古刀中で最も多く現存し、その作風は、鎌倉時代の武家文化の影響を受けて,豪壮華麗なるの,静蓋な気品高いものなど,まことに多彩で あります。そして,いずれる最えられ,研ぎ澄まされた黒鉄に,神秘の華を咲かせました。
昨年昭和63年1月,静岡の故佐藤寛次氏により,長光の薙刀(国宝)が佐野 美術館に寄贈されました。
本企画はこのことを記念するとともに,長い間厚いベールに被われた名匠長 光の実像を浮き彫りにしようとするものであります。
本展開催にあたり、多大のご指導、ご協力を賜りました,ご所蔵者(館), 係各位に深く感謝申し上げます。
平成元年正月 佐野美術館
東京国立博物館では昭和六十年七月に特別展観「打刀拵-刀剣外装の美―」を開催した。本図録はその出 陳作品を中心に、展観後に新たに調査することができた作品を加えての研究成果を示すものである。
打刀拵は近世における刀装の主流となるものであるにもかかわらず、江戸時代初期以前の作品で現存するものは非常に数少ない。ましてその成立及び変遷過程に関する研究は江戸時代の故実家によるところが中心となったもので不十分といわざるを得ない。本書では作品の各部分を多く掲載し、その形状・法量を記し、 様式の特色を解明することに努めた。本書が刀剣・刀装史ばかりでなく、風俗、文化史など広い分野の研究 に多少なりとも役立つことができれば幸甚である。
なお、この刊行にあたり掲載させていただき、また御協力いただいた各位に深く感謝の意を表する次第である。
昭和六十二年八月
東京国立博物館